最初のレイアウトは3ヶ月で崩壊した。
5年前、東京・中央線沿線の分譲賃貸1LDK(43㎡)に引っ越した直後に黒猫を迎えた。インターネットで調べた「猫部屋レイアウトの基本」を参考にして家具を配置した。キャットタワーは部屋の隅に、トイレはリビングのデッドスペースに、猫用品はそのへんに散らかした形で。
3ヶ月後、キャットタワーは黒猫に無視され、リビングのトイレは来客のたびに気まずく、猫用品はどこに何があるかわからない状態になっていた。
その後、2年目にキジトラを迎えてから状況はさらに変わり、今の配置にたどり着くまでに3回レイアウトを変えた。
この記事は「正解のレイアウト」を教える記事ではなく、「試行錯誤した記録」だ。43㎡の1LDKに猫2匹と5年間暮らして、失敗した配置と今の状態を具体的に書く。
この記事でわかること:
- 1LDKの動線設計で失敗した3つの配置とその改善理由
- キャットタワー・猫トイレ・収納の現在の配置
- 猫2匹飼いならではの部屋設計の難しさ
5年間で3回レイアウトを変えた話
5年間のレイアウト変遷を整理すると、こんな感じだ。
- フェーズ1(1〜3ヶ月): 入居時に作った「本で読んだ理想のレイアウト」。3ヶ月で問題が山積みになって崩壊
- フェーズ2(4ヶ月〜1年半): 問題が起きるたびに場当たり的に対処したレイアウト。キジトラを迎えた後にさらに混乱
- フェーズ3(2年目〜現在): 「猫の動線を中心に考えたレイアウト」に切り替えてから安定
フェーズ1とフェーズ2の失敗を整理したのが、フェーズ3につながっている。
フェーズ1で僕がやった間違いは「人間の視点だけで部屋を設計した」ことだった。「家具の邪魔にならない場所」「見た目がきれいな場所」にものを置いた結果、猫の動線をまったく考慮していない配置になっていた。
猫は人間が「ここに置くのがベスト」と思う場所を使わないことが多い。どこで寝るか、どこを通るか、どこから飛び降りるかは猫が決める。それに合わせて家具の配置を決めないと、猫専用グッズが無駄になる。
フェーズ2では猫が実際に使っている場所・動線を観察して、そこに合わせて家具を動かすことを繰り返した。2年ほどかけてやっと「猫がどう動くか」がわかってきた。
フェーズ3は、その観察結果をもとにゼロから配置を見直したフェーズだ。変えてみると、猫が落ち着いて過ごすようになり、自分の生活動線も改善した。
現在の部屋の配置と動線(43㎡の1LDK)
間取りは入口から見て玄関→廊下→リビングダイニング(約16畳)→和室(約6畳)という構成。廊下の右側に洗面・バスルーム、左側に収納スペースがある。
リビング:キャットタワーとソファの配置
現在のキャットタワーは南側の掃き出し窓の横に置いている。高さ180cmの突っ張り型で、最上段から外が見える。
ここに来るまでに、1度目は部屋の北東の隅(窓から3m離れた場所)に置いていた。その話は後述する。
ソファはキャットタワーと対面する位置に置いている。夕方になると黒猫がキャットタワーに登って、僕がソファにいる位置からちょうど目が合う距離になる。意図したわけではなかったが、これが今の部屋でいちばん気に入っている配置だ。
リビングダイニングにはダイニングテーブルも置いているが、キジトラはテーブルの上に頻繁に乗ってくる。フードや匂いがある器は置きっぱなしにしないというルールを自分に課している。猫がいる以上、テーブルに何かを置きっぱなしにするのはリスクが高い。
キッチンは対面型で、リビングから見えるオープンスタイルだ。猫がキッチンカウンターに乗ってくるのを防ぐために、カウンター上には何も置かないようにしている。「乗る価値がないところ」にしてしまうほうが、無理にしつけるよりも楽だった。
寝室(和室):猫の寝場所と人間の寝場所の分け方
和室は寝室として使っている。猫も自由に入れる状態にしていて、特に仕切りはない。
黒猫は夜中に布団の中に入ってくる。キジトラはベッドの端で寝るか、押し入れの下段(扉を少し開けておく)を使っている。
和室に猫グッズは置いていない。ごはん皿もトイレも廊下側に集中させている。これは意識的にそうしているわけではなく、試行錯誤の末に自然とそうなった。
和室に猫グッズを置かないほうがいい理由を後から考えると、「寝る部屋」と「生活する部屋」を分離できるからだと思う。臭いが出るトイレやごはん皿は廊下・リビング側にあって、寝室は猫との睡眠空間として機能している。
ただ、黒猫が夜中に布団に入ってくる問題は今も解決していない。起こされることが増えた時期もあったが、最近は慣れた。これが気になる人は扉を閉めて猫を入れないようにするしかないが、僕はそこまではしていない。
和室(約6畳)は猫2匹にとっては十分に広い。寝ているときはそれぞれが自分のスペースを確保している。和室に猫専用の寝床を置いていないのに、それぞれが「自分の場所」を作っているのは興味深い。黒猫は布団の端、キジトラは押し入れ下段がお気に入りの場所になった。
廊下・洗面:猫トイレの置き場所選び
廊下に猫トイレを2台置いている。全自動猫トイレ(Petree)1台と、スタンダードな猫砂トイレ1台。廊下幅は約90cmで、トイレ2台で60cm使っている。人間が横向きにすれ違えないくらい狭い。
ただ、これが今の最適解だと思っている。通気がよく、リビングと分離できている。臭いが食事のエリアに届かない。詳細は後述する。
トイレを廊下に置く場合、もう一つ重要なのは洗面への動線を確保することだ。うちはトイレ2台を廊下の左側(収納側)に寄せて置いているため、右側(洗面入り口)は人間が通れる状態を維持できている。
全自動トイレのPetreeは、ドラム型でサイズがかなり大きい。43㎡の1LDKでこれを置くのはスペース的にきつかった。廊下に置かざるを得なかった理由はそこにある。リビングに置くにはサイズが大きすぎた。ただ、自動でゴミを仕分けしてくれるので管理の手間がかなり減った。
ごはん皿の置き場所
ごはん皿はキッチンの入り口付近に置いている。
以前はリビングのテーブル近くに置いていたが、猫がごはんを食べた後に部屋を移動するときにフードの粒を床に落として運ぶことがあり、リビングの床がいつもざらざらしていた。
キッチン入り口付近に変えてから、フードが落ちてもキッチンマットの上で収まるようになった。掃除が楽になったというシンプルな理由でこの場所に落ち着いている。
2匹それぞれの皿を30cm以上離して置いている。近すぎると、どちらかが食べているときにもう一方が気になって近づいてくる。黒猫はそれが苦手で、近づかれると食べるのをやめてしまうことがあった。
失敗だった配置3つと変えた理由
キャットタワーを窓から遠い壁際に置いた失敗
最初のキャットタワーは部屋の北東の隅に置いた。「部屋の隅なら邪魔にならない」という理由だけで決めた。
結果:黒猫がまったく使わなかった。2週間、1回も登らなかった。
猫はキャットタワーに「高さ」だけでなく「視界」を求めている。窓から遠い場所に置いたタワーには、何かを観察できるという価値がなかったのだと思う。
窓際に移動した翌日から、黒猫が使い始めた。単純な話だった。
ただ当時はその発想がなく、「うちの猫はキャットタワーを使わないタイプかも」と2ヶ月ほど誤った認識を持ち続けていた。
この経験から学んだのは、「家具を配置してから猫の反応を見る」というやり方が猫の部屋設計の基本だということだ。人間が「ここがいい」と判断しても、猫には通用しないことが多い。
もう一つ気づいたのは、キャットタワーの「窓際」は南側か東側が望ましいということ。西側は夕方の直射日光が当たりすぎる場合がある。うちは南側に置いて午前中の日差しが入るようにしている。黒猫が午前中、よく日向ぼっこしているのが見えるようになった。
猫トイレをリビングに置いた失敗
フェーズ1のときはリビングのテレビ台の横にトイレを置いていた。「猫の目に見える場所がいい」という記事を読んで、人がよくいるリビングに置いた。
3週間後、友人が来てリビングに入った瞬間に「なんか臭い」と言った。僕は慣れてしまっていて気づいていなかった。
翌日、トイレを廊下に移動した。来客時の臭い問題は即座に解消した。
廊下に移動したデメリットは「廊下が狭くなる」ことだが、それよりも生活の快適性が上がったので、現在もこの配置を維持している。
もう一つの教訓は「自分が慣れていることが他人にとっては問題であることがある」ということだ。毎日猫と暮らしていると、ある程度の臭いには感覚が鈍くなる。これは猫を飼っていない人に部屋に来てもらうことで初めてわかった。
猫トイレの置き場所を決めるときのポイントは「通気性」と「人間の生活動線からの分離」の2点だと今は思っている。臭いは通気がよければある程度拡散する。生活動線から分離できていれば、食事やくつろぎの場に臭いが届きにくい。
うちの廊下にトイレを置いている理由は、廊下に小窓があって換気しやすいからでもある。この小窓がなかったら廊下への設置は難しかったかもしれない。間取りによってどこが適切かは変わる。
収納を猫が開けられる引き出しにした失敗
キジトラを迎えてから発覚した問題。
うちの収納家具は取っ手が「引き出す」タイプで、キジトラが前足を引っかけて開けられることが判明した。最初に気づいたのは、深夜に何か音がして見に行ったら、リビングの収納から猫のおもちゃが全部引き出されていたときだ。
翌日チャイルドロックを買ってきて全部の引き出しにつけた。
ただ最初に買ったのが粘着テープタイプのチャイルドロックで、賃貸の収納家具の塗装が一部剥がれた。引っ越し時の費用がかかるかもしれない。今は磁石タイプを使っている。
問題はキジトラが開けていたのが「おもちゃ収納」だけではなかったことだ。キッチン下の食材を入れていた引き出しも開けていた。食材が引き出しの外に転がっているのを発見したときは、さすがに焦った。
特にチョコレートや玉ねぎなど猫に有害な食材を引き出しに入れていた場合のリスクを考えると、キジトラの引き出し開けをそのままにしておくのは危険だった。全ての引き出しにロックをつけてから、そのリスクは解消された。
磁石タイプのチャイルドロックは、専用の磁石キーを近づけるとロックが外れる仕組みで、使い勝手もいい。賃貸なので取り外しも比較的楽にできる。ただし種類によって強度が違うので、猫が力任せに引っ張っても外れないタイプを選ぶのが重要だ。うちのキジトラは最初のロックを3日で突破した。耐久性の高いものに変えてから問題がなくなった。
猫がいる前提の収納設計
フェーズ2まで、猫用品は「余ったスペース」に置いていた。フードは棚の片隅、消耗品(砂・シート・おもちゃ)は段ボールのまま積んでおく、というやり方だった。
どこに何があるかよくわからなくなり、「砂がもうないと思って買ったらストックがあった」という状態を繰り返していた。
猫用品の定位置をまとめた「猫コーナー」の作り方
今は廊下のクローゼット下段を「猫コーナー」として使っている。ここに猫用品をすべて集中させた。
- フード(ドライ・ウェット)のストック
- 猫砂・トイレシート
- おもちゃ(使っていないもの)
- 爪切り・ブラシなどのケアグッズ
- 薬・サプリ類
一箇所にまとめてから、「どこに何があるかわからない」状態がなくなった。補充が必要なものも一目でわかる。
「猫コーナー化」するにあたって意識したのは、「猫がアクセスできないが、人間はすぐ取り出せる場所」にすることだ。クローゼット下段は猫が普段あまり入ってこない場所だが、引き戸を開ければすぐアクセスできる。フードや砂を補充するときのストレスが大幅に減った。
補充のタイミングがわかりやすくなったことで、「フードが切れた」「砂が足りない」という緊急事態が1年以上起きていない。
フード・消耗品のストックをどこに置くか
フードは1〜2週間分のストックをキッチン近くに置き、残りはクローゼットの猫コーナーに保管している。
猫砂は重いので届いた段ボールのままクローゼットに入れて、使うときだけ取り出す形にしている。届くたびに段ボールを解体してどこかに入れる、という作業が面倒で、「箱ごと突っ込む」スペースを確保することにした。
猫用品のAmazon定期便を使っているので、1〜2週間分のストックは常にある状態にできている。定期便のタイミングで残量を確認して、必要に応じてスキップするかそのまま受け取るかを判断する。
おもちゃに関しては「ローテーション保管」にした。使っているおもちゃは出しておくが、使っていないものはクローゼットに入れておく。猫は同じおもちゃに飽きることがあるので、数週間後に出すと新鮮に反応する。全部出しっぱなしにするよりも、猫の反応がよい。
消耗品(トイレシート・ウェットティッシュなど)はアマゾン段ボールのまま保管している。見た目は悪いが、一人暮らしの1LDKに来客が頻繁にあるわけでもないし、クローゼット内なので問題ない。
キャットタワーの選び方と設置場所の結論
5年間で2台買い替えた。
1台目は高さ120cmで、僕が「そんなに高くなくていいだろう」と判断して選んだ。黒猫は1年ほど使っていたが、2匹目のキジトラが来た後から上段の取り合いが起きるようになった。
2台目は高さ180cmにした。段数が増えたことで2匹が同時に使えるようになった。
結論として、1LDKに猫を2匹飼うなら180cm以上のキャットタワーを選んだほうがいい。高さがあるほど同時に使える段数が増える。取り合いが減る。
設置場所は窓際1択だと思っている。2台試して、どちらも窓から離れた場所では使われなかった。
突っ張り型を選んだのは、転倒リスクを減らすためだ。2匹の猫が同時に上り下りすると、据え置き型は揺れることがある。突っ張り型は天井と床で固定されているので、2匹が激しく動いても安定している。
キャットタワーの素材は、爪とぎ用の麻縄が巻かれているタイプを選んでいる。猫は柱部分で爪を研ぐことが多く、猫がそこで爪をといでくれると壁や家具の被害が減る。実際、キャットタワーを置いてから壁への爪とぎ被害がほぼなくなった。
1台目と2台目で変えた点は高さだけではなく、ハンモック型の棚が増えたことだ。黒猫(7歳)は今、ハンモック部分を特に好んで使っている。年齢を重ねると激しく上り下りするよりも、ゆったり寝られる場所を好むようになってきた気がする。
猫2匹で1LDKは狭いか?5年住んで思うこと
正直に言うと、やや狭いと思う。
43㎡は一人暮らしとしては普通の広さだが、猫2匹の生活スペースが加わると、廊下がトイレで圧迫される、リビングにキャットタワーの存在感がある、という状態になる。来客に「猫部屋っぽい」と言われることが増えた。
それが嫌かというと、べつに嫌ではない。猫がいる前提の部屋になってきたと思っている。
ただ3匹目を迎えるつもりは今のところない。2匹でこの状態なら、3匹はさすがに厳しい気がしている。
猫の適正飼育頭数については、環境省の「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト」でも飼育環境の確保について触れている(参照:環境省 動物愛護管理)。
「1LDKに猫2匹は無理ではないか」と聞かれたら、「無理ではないが、それなりに部屋の設計を変える必要がある」と答える。何も考えずに2匹迎えて、元の部屋のまま使えるかというと、使えない。
1匹から2匹に増えたときの変化で一番大きかったのは「縄張りの問題」だ。黒猫(先住猫)は最初の2〜3ヶ月、キジトラを警戒してリビングの端に引きこもっていた。キャットタワーのフロアを使い分けて、2匹が同時に部屋にいられるようになるまで約3ヶ月かかった。
今は2匹の間に大きなトラブルはないが、ごはんの時間と遊びの時間は基本的に分けている。一緒に与えると黒猫が食べているときにキジトラが近づいて、黒猫の食事量が減ることがあったからだ。
1LDKで2匹飼う場合、部屋のレイアウト以前に「2匹の関係性を観察して、それに合わせた空間設計をする」ことが重要だと思う。猫同士の相性によって、必要なスペース分離の度合いが変わる。
とはいえ、朝起きたときに2匹が思い思いの場所にいるのを見ると、まあこれでいいか、とも思う。正直なところ。
賃貸で猫の部屋設計をするときの注意点
一つ補足しておく。賃貸でキャットタワーや収納の配置を変えるのは問題ないが、壁や床に手を加えるときは注意が必要だ。
チャイルドロックの取り付けについては、磁石タイプや粘着力の弱い両面テープタイプなら賃貸でも扱いやすい。ただし、製品によって剥がしたときに塗装を傷める可能性があるので、目立たない場所で試してから全部につけることをすすめる。
壁への穴あけや釘打ちは原則として避けたほうがいい。猫が引っかいた壁の傷は「通常の使用範囲内」とみなされることが多いが、明らかな穴や大きな傷は修繕費用の請求対象になりうる。退去費用の目安については環境省・国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公開しているため、詳しく知りたい場合は参照することをすすめる(国土交通省)。
猫がいる賃貸の原状回復全体については、別の記事で詳しく書いているので、退去を検討している方はそちらも参照してほしい。
チャイルドロックについては、ホームセンターで1個200〜400円程度で手に入る磁石タイプが扱いやすい。うちでは引き出し全部(5か所)につけているが、取り付けは1か所あたり5分ほどで終わる。キジトラは最初の数日だけ「なぜ開かないのか」という顔で試していたが、2週間後にはあきらめた。キャットタワーと収納の配置をまとめて見直すなら、チャイルドロックの取り付けも同じタイミングでやっておくと効率がよい。
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