猫を飼い始めて5年が経った。「一人暮らしに猫がいると孤独が和らぐ」という話はよく聞くけど、実際どう変わったのか、書いてみる。
この記事でわかること:
- 5年で変わったこと・変わらなかったことのリアルな記録
- 一人暮らし男性の「帰宅・休日・仕事中」の具体的な変化
- 「孤独」の感じ方がどう変わったか、あるいは変わらなかったか
結論から言うと、孤独は消えていない。ただ、孤独の「種類」は変わった。

猫を飼う前の一人暮らし——「孤独」をどう過ごしていたか
むぎを迎えたのは27歳のとき。東京の1LDK、一人暮らし歴3年目だった。
仕事はIT系でリモートが多い。週3〜4日は自宅で仕事をする生活。当時は「帰っても誰もいない部屋」というより「ずっと誰もいない部屋で仕事もしている」という状態だった。
孤独かと聞かれると、孤独だった。
ただ、それが特別つらいわけでもなかった。慣れ、というか、「一人暮らしはこういうものだ」という前提で生きていた。帰宅しても部屋は静かで、冷蔵庫の音だけが聞こえて、そのまま寝る。それが当たり前だった。
特別な不満はなかった。でも、何かが欠けている感じも、うっすらとあった。
5年で気づいた変化:生活リズムと「帰る場所」の感覚
帰宅が楽しみになった、という変化の正体
むぎを迎えてから一番最初に変わったのは、帰宅の感覚だ。
以前は「帰る」という行為に特に感情がなかった。残業が終わって最寄りのコンビニに寄って帰る。それだけだった。
今は違う。21時に帰宅すると、玄関を開けた瞬間にむぎが来る。毎回来るわけではない。気が向いたときだけ来る。そこがまた猫らしいというか。
「来た」と思うとちょっとうれしい。「来なかった」ときは「寝てるか」と思いながら部屋に入る。どちらにしても、帰宅に「なにかある」感覚ができた。
帰るのが楽しみ、というのは言い過ぎかもしれない。ただ「どうだろう」という、ちょっとした気持ちが生まれた。それだけで、帰宅の重さがなんとなく軽くなった。
休日の過ごし方が変わった
猫を飼う前の休日は、なんとなく外に出ることが多かった。部屋にいても特に何もない、という感じで。
今は、むぎがいるから部屋にいても別に退屈しない日が増えた。ソファでうとうとしているむぎを眺めながらコーヒーを飲む、みたいな時間が普通にある。
「それって猫に依存してない?」と思わなくもないが、まあ、そういうものかもしれない。少なくとも「部屋にいる理由」ができた。
ただ、旅行が気軽にできなくなった。2泊以上の外出は、ペットシッターの手配か自動給餌器の設定が必要になる。その準備がめんどくさい。飼う前は「旅行いつでも行けるな」と思っていたが、今は「行くなら段取りが要る」と変わった。
孤独は消えたか、それとも変わったか
「ひとりぼっち」の定義が変わった
5年経って思うのは、孤独は消えていないということだ。
リモートワークで昼間も夜も一人の部屋にいる。その状況は変わっていない。話せる相手がいるわけでもない。むぎは会話できない。
ただ、「ひとりぼっち」という感覚は少し変わった。
うまく言えないが、「無生物の空間にいる感じ」と「生き物がいる空間にいる感じ」は違う。同じ孤独でも、後者はちょっとだけ軽い気がする。むぎが昼寝しているのを横目で見ながら仕事している、その感覚。これが結構、効いている。
別に何も起きていない。むぎは寝ているだけ。でも「いる」というのは思ったより意味があった。
良かった面と、想定外だったこと
5年間の変化を並べると、こうなる。
変わって良かったこと:
- 帰宅に「なにかある」感覚ができた
- 生活のリズムが整った(朝7時・夜6時のご飯の時間が生活の時間軸になった)
- 休日に部屋で過ごすことへの抵抗感が減った
- 仕事が行き詰まったときに、むぎを眺めるだけで少し頭がリセットされる感覚がある
想定外だったこと:
- 年間の飼育費が18〜22万円かかる(フード・医療費・用品)。最初の見積もりより高かった
- 旅行や泊まり出張の前の準備が毎回発生する
- 毛の掃除が週2回は必要になった(ロボット掃除機を導入した)
- リモートワーク中に膝の上に乗られると、2〜3時間仕事がしにくい日がある
変わらなかったこと:
- 孤独な感じそのもの。「猫がいれば孤独は消える」は少し言い過ぎ
- 誰かと話したいという欲求。猫はそれを満たさない

リモートワーク中に猫がいること
これは飼う前に想定していなかった変化だ。
週3〜4日は自宅で仕事をしている。以前は「作業中は誰もいない部屋で集中できる」と思っていた。今は違う意味でそれが成立している。
むぎはリモートワーク中にだいたい3パターンの行動をとる。
- 僕のデスク横のキャットタワーで寝ている
- 膝の上に乗ってくる
- 突然走り回る(深夜運動会みたいな現象が昼間に起きる)
膝の上に乗ってくると仕事がしにくい。マウスを使えない。キーボードを打ちにくい。腕が届かなくて画面を見るのに首を傾けないといけない。
これを解決したくてスタンディングデスクを導入した。立って仕事すると膝がないので乗られない。その代わり足の上に座るようになった。
まあ、しょうがない。
ただ、仕事中に「行き詰まった」とき、ふとむぎを見ると少し頭がリセットされる感覚は本当にある。気のせいかもしれないが、なんとなく「また考えてみるか」という気持ちになりやすい。これは意外な副作用だった。
夜の時間帯の変化
これが一番変わったかもしれない。
猫を飼う前の夜は、仕事が終わっても特に何もすることがなかった。ゲームをするか、YouTubeを見るか、だらだら過ごしてそのまま寝る。それが良いとも悪いとも思っていなかったが、「なんとなく過ぎていく感じ」はあった。
今は、22時ごろにむぎがそわそわしてくる。夜ご飯のリマインダーだ。
ご飯を用意して、むぎが食べているのを見て、食べ終わったら少し遊ぶ。このルーティンが夜の終わりに生まれた。10〜15分の話だが、「今日もこれで終わる」という感覚がある。
仕事の余韻を引きずったまま22時を過ぎていた以前に比べて、むぎのルーティンで「今日が締まる」感じが生まれた。地味に大きい変化だと思っている。
猫を飼いたい一人暮らしへ——5年後の感想
「猫を飼って後悔しているか」と聞かれたら、していない。
むぎがいることで変わったことのほうが、変わらなかったことより自分にとっては大きかった。「帰る場所」という感覚が生まれたのは、思ったより大きい変化だった。
ただ、「孤独が解決する」という期待を持ってはいけないと思う。猫は人間の代替にはならない。そういう意味での孤独は変わらない。
費用と手間も、思ったより増える。ペット文化研究所の調査によると猫の年間飼育費は平均16万円前後とされているが、医療費が発生した年はそれを大きく超える。飼い始める前に計算しておいたほうがいい。
それでも、「部屋に生き物がいる」という感覚は、5年経ってもなんとなくいいと思っている。消えない孤独を、ちょっとだけ軽くしてくれる。そういうものだと思って付き合っている。
なお、一人暮らしで猫を飼う際の準備や注意点については環境省のペット飼育に関するガイドラインも参考になる。特に「最後まで責任をもって飼育する」という基本的な考え方は、猫を迎える前に一度確認しておいてほしい。

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